配偶者の浮気や不倫が発覚した場合、あなたは大きな精神的苦痛を受けることでしょう。
その責任として、浮気・不倫相手や配偶者に対し、慰謝料請求をすることができます。
しかし、慰謝料請求を長期間放置していると、慰謝料請求権が時効によって消滅してしまう可能性があります。
慰謝料請求をするかどうかで迷っている間に時効が成立してしまい、後悔してしまうことでしょう。
慰謝料請求の時効は何年なのか、また時効を止める方法はないのかを一緒に見ていきたいと思います。
目次
慰謝料の時効とは?
最初に、慰謝料の時効について知る前に、時効とはどういった制度なのか、確認しておきましょう。
<時効とは>
一定期間が経過することにより、権利が消滅したり(消滅時効)、確定的なものと(取得時効)なったりすることです。
浮気や不倫による慰謝料の時効の場合は、消滅時効となります。
慰謝料の請求権も、長期にわたって行わない場合には、時効となり消滅してしまいます。
法律(民法)では、慰謝料を請求できる期間が定められているため、いつでも請求できるわけではありません。
なぜ、請求できる期間が決まっているのでしょうか。
消滅時効の制度で認められること
①権利の上で眠る者を許さない
②長期間権利行使されない事実状態を評価して、債務者の期待を保護する
「慰謝料請求できる」という権利を持っているにもかかわらず、長期間何もしないで放っておくのは、債権者側に責任がありますし、債務者としても、「これだけ長期にわたって請求されないのだから、もう請求されることはないだろう」と期待する恐れがあるため、その期待を保護しようという考えなのです。
パートナーに対して、慰謝料を請求する場合についても、浮気・不倫相手と同じように消滅時効が適用されてしまいますので注意しましょう。
慰謝料の時効期間
浮気や不倫の慰謝料は、どのくらいの期間放置していると時効消滅してしまうのでしょうか?
不倫の慰謝料は、民法709条にて、民法上の不法行為にもとづく損害賠償請求権という権利で定められています。
民法724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
民法で定められているとおり、浮気や不倫があったこと、不倫相手を知ったときから3年が経過すると、慰謝料が時効消滅してしまうということです。
また、「不法行為時から20年」が経過したときにも、慰謝料請求権は消滅します。
このことを除斥期間と言います。
除斥期間の場合、不法行為が行われたことや加害者を知っている必要はありません。
浮気や不倫の事実を全く知らなかった場合あっても、浮気や不倫があったときから20年が経過してしまうと、慰謝料請求ができなくなってしまいます。
浮気や不倫の時効はケースによって異なる!
時効は、ケースによって異なる場合があります。
ここは、少しややこしく、分かりづらい部分でもありますので、丁寧に説明していきたいと思います。
不貞行為や離婚に対する慰謝料の時効とそれらを請求する際の時効が少し異なってきます。
まずは、その違いを知っておきましょう。
不貞行為や離婚に対する慰謝料の時効 |
|
不貞行為に対する慰謝料 |
不貞行為による精神的苦痛に対する慰謝料 |
時効は、不貞行為や浮気・不倫相手を知った日から3年 |
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離婚に対する慰謝料 |
不貞行為により離婚となった際の精神的苦痛に対する慰謝料 |
時効は、離婚した日から3年 |
不貞行為や離婚に対する慰謝料を請求する際の時効 |
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配偶者に浮気・不倫の慰謝料を請求 |
不貞行為を知った日から3年 |
数年後に配偶者の浮気・不倫に気づいて慰謝料を請求 |
不法行為があった日から20年以内 |
配偶者の不貞行為が原因で離婚する際の慰謝料 |
離婚した日から3年 |
浮気や不倫の時効は原則として3年
慰謝料請求の時効には、次の2つがあります。
浮気・不倫の慰謝料請求の時効 |
|
除斥期間 |
パートナーと不倫相手の不貞行為があった日 |
消滅時効 |
パートナーと不倫相手の不貞行為を知った日 |
例えば、配偶者の不貞行為が発覚して、その相手まで分かれば、その日から3年以内に慰謝料を請求しなければならないということです。
しかし、もし浮気や不倫に気づかなかったり、浮気や不倫相手を特定できないまま時効が経過してしまうと、慰謝料の請求ができなくなってしまいます。
そういった不利益が生じないよう、3年とは別に設けられているのが、除斥期間です。
除斥期間は、不法行為から20年です。
3年の時効が浮気や不倫相手が判明した日が基準になるのに対し、除斥期間は、浮気・不倫相手が判明したかどうかに関係なく、浮気や不倫の行為が行われてから20年と定められています。
しかし、途中で浮気や不倫の事実を知った場合は、3年の時効が開始するため、除斥期間は関係なくなり、3年の時効が来た時点で慰謝料の請求権が消滅します。
つまり、浮気や不倫が行われたことを知っているかどうかに関係なく、20年経過すると、浮気や不倫について、配偶者にも、その相手にも慰謝料が請求できなくなるのです。
浮気・不倫相手の素性が分からない場合
浮気や不倫相手への慰謝料の時効については、浮気や不倫があった事実を知り、浮気・不倫相手を特定することができれば、その日から3年のカウントが始まります。
不倫の事実を知り、不倫相手の素性を知ったときから3年間の間は慰謝料請求することができますが、その期間を過ぎると、慰謝料請求行為は認められません。
しかし、浮気・不倫相手が誰かわからない場合、時効はカウントされません。
相手の素性が分からない場合は、除斥期間が適用されますが、不貞行為の事実を知りながらも、あえて相手を特定しない場合、裁判の際、時効が成立していると判断される可能性があります。
そうなった場合は、時効が経過しているとみなされるため、請求ができなくなります。
浮気や不倫の事実を知ったなら、浮気・不倫相手を特定したほう良いと言えるでしょう。
配偶者に対する慰謝料の時効
配偶者に対する慰謝料については、基本的に「不倫があったことを知ってから3年間」です。
ただし、配偶者と浮気や不倫が原因で離婚する場合には、それが離婚原因となります。
浮気や不倫されたことに対する精神的苦痛については、離婚慰謝料となります。
離婚慰謝料は、離婚したときから時効期間をカウントするので、離婚後3年間は慰謝料請求をすることができます。
浮気や不倫をされてから何年経とうとも、離婚後3年以内であれば、配偶者に対する離婚慰謝料請求は可能です。
時効は止められるのか?
除斥期間があるとはいえ、時効は原則として3年ですから、期間が短いと考える人も多いのではないでしょうか。
裁判沙汰になってしまうと、長引くケースも考えられます。
なんとかして、時効を止めることはできないのでしょうか。
時効には、中断という制度があります。
<時効の中断>
時効の中断とは、時効期間の進行が中止して、また最初に巻き戻ることです。
時効が中断されると、それまで進んでいた時効期間がなかったことになり、また始めからカウントのやり直しになります。
時効の中断を繰り返えせば、永遠に時効を成立させないことも可能と思う人もいると思いますが、除斥期間には、中断の制度がありません。
なので、時効の中断を繰り返していても、不貞行為があったときから20年が経過してしまったら、時効は成立してしまうのです。
ただし、期限ギリギリの最大20年までは慰謝料請求を延長できるため、最終手段としては、いい方法だと思います。
それでは、中断方法の手段を細かく説明していきます。
①債務を承認させる
債務承認とは、債務者が、債務があることを認めることです。認める方法に決まりはなく、口頭で認める場合にも債務承認が成立します。
しかし、口頭で相手が認めたとしても、後になって「そんなことは認めてない」と言われてしまえば、債務承認があったことを証明することは難しいです。
そうならないためにも、債務承認させる際は、証拠を残すために、必ず書面化しなければいけません。
<示談書作成の注意ポイント>
①「浮気または不倫したことを認め、慰謝料を支払います」という浮気や不倫の事実を認めさせ、支払う意思があることを明確にしましょう。
②作成した日付を書きましょう。
③署名押印をさせましょう。
債務承認が成立すると、そのときから3年が経過するまで、慰謝料の時効は成立しません。
②裁判で請求する
裁判と聞くと大変なイメージを持たれる方も多いと思います。話し合いで慰謝料請求ができるのなら、裁判を起こしたくないですよね。
しかし、裁判を起こすと、その時点で時効は中断します。裁判中に時効期間を迎えてしまっても、時効は成立しません。
判決が出ると、その判決確定時から10年間延長されます。
これらの10年間という期間も民法できちんと定められているのです。
第174条 2第1項
(判決で確定した権利の消滅時効)
確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
判決が下されたにもかかわらず、相手が慰謝料請求に応じない場合は、10年を経過する前に差し押さえなどの法的措置を取れば問題ありません。
話し合いでは、相手が協力しない限り行うことができませんが、裁判上の請求であれば、相手が協力しなくても、こちらから行うことができるので、非常に効果的なのです。
しかし、裁判上の請求を行うときには、いくつか知っておくべきことがあります。
相手の居場所が分からない場合
相手が逃れようと逃げている場合もあります。
住民票を異動せずに逃げている場合、相手の居場所がわかりません。
相手が住民票上の住所に住んでいなく、行方不明の場合には、「公示送達」という方法によって裁判を起こすことができます。
公示送達をすると、裁判所の掲示板のような場所に、「裁判を起こしています」と掲示されます。
公示送達をすることで、相手に有効に送達が行われたとして扱い、判決をしてもらうことができます。
公示送達の方法によっても、時効中断の効果が得られるので、浮気・不倫慰謝料の時効を10年間延長することができるのです。
取り下げする際は注意
一度、裁判を起こしたら、途中で取り下げをした場合、時効が中断しないのです。
取り下げをすると、裁判が始めからなかったことになってしまいます。
③内容証明を送る
裁判を起こすには、準備が必要です。3年の時効が間近な場合、急に裁判を起こせないこともあるでしょう。
裁判を起こす余裕がない場合は、「催告」をすることで、時効を少しだけ延長することができます。
催告とは、内容証明を送ることによって、相手に慰謝料の請求をすることです。
時効が間近に迫っていても、時効の成立を6ヶ月間だけ遅らせることができます。その6ヶ月の間に裁判を起こすと、時効を中断させることができます。
ただし、内容証明の送付は、一度きりですし、その間に裁判の準備をする必要があるでしょう。内容証明の送付は有効な手段に感じられますが、一時的なものです。
時効が目前に迫っているなら、郵便局に行って内容証明郵便で慰謝料請求書を送り、すぐに弁護士に相談すると良いでしょう。
④仮差押・仮処分・差押
例えば、相手が慰謝料の支払いに同意しており、公正証書として書面化してある場合、相手の資産を差し押さえることができます。
この差押が行われたときから、時効が中断されます。
また、裁判前に、相手が財産隠し等の行為を防ぐために、相手の資産を仮差押した場合にも、慰謝料請求権の時効を中断させることができます。
時効で慌てる前にプロへ相談し、慰謝料請求しよう!
慰謝料請求する際には、時効があるということを知ってもらえたと思います。
慰謝料を請求する場合は、時効があるため、早い段階で行うのがベストです。
ほとんどの人は、裁判での請求を望まないはずです。相手と交渉するとなれば、弁護士が間に入らない限り、時間がかかります。
そして、請求する際には、不貞行為の事実が認められる確実な証拠が必要です。
時間が経過してしまえば、証拠になるものを処分されてしまったり、浮気や不倫関係が解消されたりと、証拠が失われる恐れがあります。
そうならないためにも、プロである探偵へ相談しましょう。
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